Jack's English Cafe

英語のあれこれ。ときどき日本語。

#2: 「コロナ禍」という言葉

こんにちは。Uncle Jackです。

2020年の終わりが近づいていますが、その前にもうひとつコロナの話題を。

 

英語学習者へのクイズ:「コロナ禍」を英語で何というでしょうか?

 

夏ごろから「コロナ禍」という言葉が頻繁に使われていますね。私たちも日常的に使っていますが、メディアでの露出は非常に多い。それだけ使いやすい言葉、微妙なニュアンスを短く、うまく伝える」言葉だということでしょう。

少しだけ使用例を挙げておきます。(出典:朝日新2020年10月17日付け)

 

*スーパーXXの○○店長には、コロナ禍で気がかりなことがあった。

 *ZZ教授が提供したコロナ禍での「仕掛け」がもう一つある。

 *コロナ禍の『新しい生活様式』で我慢し続けるのは大変。

*運動会の季節は秋なのだが、コロナ禍の今秋は各地で様相が一変している。

 *コロナ禍で久しぶりに生の舞台を見ると言うお客さんも、多いと思います。

 

文脈によって多少違いがあると思いますが、最大公約数的な意味は「新型コロナの影響があるなかで」ということのようで、英語で使われている"amid COVID-19 pandemic", "during the pandemic", "during the time of great suffering"などの言い方が近いように思います。つまり、「コロナ禍で」「や「コロナ禍の」という表現の「コロナ」に当たる部分は"Covid-19 pandemic" "pandemic" "great suffering" で表現され、「で」「の」にに当たる部分は"amid" "during"で表現されているということですね。

 

英辞郎」というオンライン辞書には「コロナ禍」の訳として"coronavirus catastrophe"が掲載されていますが、そのような英語の実際の使用例をまだ見たことがありません。同じ「英辞郎」の「エイズ禍」は"AIDS epidemic" とあり、また「HIV禍と闘う」は"combat HIV epidemic"となっています。

 

「禍」(または「災い」)を和英辞書で引けば"catastrophe" "disaster" "calamity" ”scourge"などというまがまがしい言葉が出てきますが、メディアや我々が「コロナ禍」という言葉を使う時は、多くの場合そのような深刻な状況を言っているわけではないようです。ほとんど「新型コロナ」と同じ意味で、あるいは「新型コロナの影響」程度のニュアンスで使っているようです。「禍」というまがまがしい漢字を使いながら、「コロナウイルス」といったストレートな表現を避け、深刻さを和らげているかのようです。曖昧な表現を好む日本語らしい言葉と言えるのではないでしょうか。

 

因みにアルクが提供している「英辞郎on the WEB Pro Lite」は無料で使える超便利な辞書です。例文が多くて語の使い方が分かり易い。英語学習者は是非登録されることをお勧めします。(ただし、「辞書」はどんな辞書でも、あくまでも参考であって、訳す時は文脈に応じた言葉を探すことが大切であることは言うまでもありません。)

<https://eowf.alc.co.jp/search?q=%e3%82%b3%e3%83%ad%e3%83%8a%e7%a6%8d&ref=whn>