Jack's English Cafe

英語のあれこれ。ときどき日本語。

#3 英語はなぜ難しいのか

こんにちは。Uncle Jackです。

明けましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いします。

といっても、年末から始めたばかりの新参者なので、「今年からよろしく」と言ったほうが適切なのですが。

 

コロナ禍に 何を祈るや 年明くる (惹句庵)

 

さて、皆さん今年の「初夢」はどんなものでしたか?日本では昔から「一、富士、二、鷹、三、茄子」と言いますが、縁起の良い夢をご覧になったでしょうか。今日は新年にふさわしい夢に関するTIMEの記事を紹介します。TIME Newsletterで送られてきた記事です(December 29, 2020)。

 

こちらをどうぞ。

 

タイトルは “Why Do We Dream? A New Theory on How It Protects Our Brains” (なぜ私たちは夢をみるのか?夢が脳を守っているという新説)というもので、興味深いですね。是非読んでみたい!

 

ところがどっこい、この記事をスラスラと読めた人は少ないのではないでしょうか。難しい単語が多すぎて、ちょっと読んだだけで行き詰ってしまいますね。最初の5パラグラフにある難しい単語を並べてみます。

 

*retinal cancer (網膜腫瘍)

*chemotherapy (化学療法)

*radiation (放射線

*echolocation (反響定位

*neuron (ニューロン、神経単位)

*cell(細胞)

*livewiring (「脳のニューロンの配線が固定的ではなく生きているがごとく変化すること」という意味らしい)

*visual cortex (視覚野)

 

「科学」分野の記事ですから、普段あまり見かけない単語が出て来るのはやむを得ないですね。それに、まさにこういった普段見かけない言葉を知ることが、この記事を読む目的の一つです。つまり、「語彙」を増やす、ということです(第一の目的は言うまでもなく、記事の内容を知ることです)。

 

私たちは、普段英語を聞いたり、読んだりする環境に身を置いていませんから、よほど努力しないと語彙は増えません。逆に、歳をとると共に忘れていく言葉の方が多い。

 

難しいと感じるもう一つの理由は、書かれている内容自体が難しい、ということです。科学の分野で仕事をしている方は別として、我々一般人からするとこの程度の話でもやはり難しいと感じるのではないでしょうか。逆に、専門分野の人がこの記事を読めば、語彙も含めて、すらすらと読めるに違いありません。

 

以上のことから、私たちが英語の文章を読んだ時に「難しい」と感じる理由は少なくとも二つあることが分かります。

 

一つ目は「語彙がわからない」、ということ。

二つ目は「テーマに関する基礎知識がない」ということ。

 

ほかに文法の問題もありますが、それは一旦置くとして、これら二つを克服する方法は何か?

 

それは、色々な分野に関する英語を読む、ということです。

 

単語集を片端から覚える、というようなことをしても語彙は増えません(小、中、高校生など脳が発達段階にある人は別です)。言葉はその言葉が使われている文脈(context)の中で覚えないと身につきません。専門性や抽象性の高い言葉ほど、そう言えると思います。

 

そして、色々な分野に関する文章を読んで、知識や見識を高めておく。それは必ずしも英語で読まなくても良い。日本語で書かれたものを読んで、日本語の語彙や知識を増やしておくことも大切です。上にあげた難しい単語のなかにある「化学療法」「放射線」「ニューロン」「細胞」などの日本語は多くの人が知っていると思いますが、知識は表面的かもしれません。

 

「難しい英語」を読むことは、必ずしも日本語での知識が十分ではないテーマに関する知識・理解を深める機会となります。ただ辞書を引くことにとどまらず、ネット上で関連する記事を読んだり、関連する書物を読んだりすることにもなるでしょう。そういう手間暇をかけて覚えた言葉は必ず身に付きます。逆に言うと手間暇をかけないと、言葉や知識は身につかないということでもあります。

 

私たちは普段、英語と切り離された日本語だけの世界にどっぷりと浸かった環境にいますから、よほど意識的に英語に触れる時間を増やさないと英語の力はつきません。その機会を提供してくれるものの一つが、今日とりあげたTIME Newsletterです。通常1回に8本、1日に2回記事を配信してくれます。アメリカの時事雑誌ですからアメリカを中心とした政治・経済・社会関連の記事が多いですが、国際的な問題や、今日取り上げた科学や医療、文化、芸能など、さまざまな話題が含まれています。これらの中から1日に1本、興味のある記事を読めば随分世界が広がりますし、英語の力もつくと思います(配信される記事の中には、印刷媒体のTIME誌に掲載されるものも含まれています)。

 

時間の無い人は読み飛ばしてください。まずは英語に触れる時間を増やすことが大事です。文脈から意味を類推することも大事です。どうしても気になる言葉は辞書で意味を確認してください。

 

ネットの時代ですから、こちらから主体的に取りに行けば、さまざまな媒体の記事が読めますが、黙っていても上質な英語の記事を無料で送ってくれるところはあまりないと思います。英語の質もさることながら、記事の内容の質が高い、信頼性が高くて安心して読めるという点は大事です。TIME の記事に是非チャレンジしてみてください。(TIMEの売り込みが目的ではありません。誤解なきように。)